日本の借金について:MMTのつづき

昨日の記事でMMTに関する本を読みましたという話をしましたが、MMTという言葉が目新しいだけでもともとの考え方はもう古くからありますね。

昨日の記事だけでは、説明不足なんで今日はちょっと長文で突っ込んだ話をしましょう。

 

日本の借金が1100兆円。このままでは子孫が財政破綻する。大変だ。バラマキするな。節約しろ。なんて話昔からありますよね。

池上彰さんとか、日経新聞だとか、経済ニュースだとかで耳にします。

いまはコロナの緊急時ですから大きくはないですが、ちょっとコロナ禍が収まってくると、国債発行は子供にツケをまわす、落ち着いたら復興増税だとか馬鹿げた論調が跋扈しております。

そうではないんだよという話をしたいと思います。

 

まず、けじめとして、子孫に借金を残すな、という考え方は日本の美風であります。

私も親が死んで1億円の借金が残ったら途方にくれますし、まあ、九分九厘相続放棄をいたしますね。

というか先祖累代の土地家屋を手放すことと、借金の多寡をてんびんにかけまして

どうするかを決めることと思いますが、そうなるまではとても悩み、このクソオヤジめと呪うことでしょう。

 

ですので、子孫に借金を残さないように生きようとお考えの方には完全に同意します。

しかしながら家計や企業の経営の延長線上に国家の経営を考えてしまうと話が違ってきます。



 

ということで、「国債(いわゆる国の借金と呼ばれている)が増え続けると子孫にツケをまわすことになってしまう」

という命題について真か偽かを、検証してみましょう。



まず、国債というものの性格を考えてみましょう。

 

国債とは、日本国政府が発行する債券であって、政府の貸借対照表の負債の部分に計上されます。

すなわち、国債を10兆円発行しますということは、全額売れれば

資産勘定に、現預金10兆円が増えて、負債部分に10兆円が計上されるわけです。

そして、誰かの負債というものは当然誰かの資産になります。(ここ重要!)



 

例として、住宅ローンを借りた個人で見てみましょう。

 

私が銀行から5000万円のローンを組んでマンションを購入したとします。

 

すると、当然資産勘定には、建物5000万円が計上されます。

負債勘定には、借入金5000万円が計上されるわけですね。

 

ちなみに私にとって住宅ローンは負債ですが、これは銀行から見たら5000万円というのは貸付金で

すなわち資産勘定にあたります。

 

その資産5000万円というのは金利を生むお金です。

ところが銀行と言うものも、一般の預金者から預金を集めて運用しているわけですね。

すなわち負債勘定にも5000万円があるはずです。

という、誰かの負債は誰かの資産ということを踏まえた上で日本国債について考えてみます。



 

ちなみに、日本国債とはいったい誰から借りているかを見てみましょう。

 

国債には、3種類あります。

 

①自国通貨(日本円)建てで、日本の国内から借りている借金

②自国通貨(日本円)建てで、外国から借りている借金

③外国通貨(ドルやユーロなど)建て、外国から借りている借金

 

の3種類です。

 

ロシアやアルゼンチン、ギリシャといった国はデフォルト(債務不履行)したことがありましたね。

アルゼンチンなんかついこないだもなんと9度目の!デフォルトしてました。

 

日本国も、国債発行残高が増え続けると債務不履行するのかとご心配なさった方も多いでしょう。

 

ロシアやアルゼンチンのデフォルトの原因となりました国債は

③外貨建てで外国から借りている借金でした。

 

これは為替リスクが絡むため、なかなかにキケンな国債です。

 

つまり、例えば1ドル1ルーブルの頃に10億ドル(10億ルーブル)の国債を発行してアメリカが

買ってくれました(つまりアメリカから10億ドル借りました)

 

ところが、為替の変動やロシア国内のインフレによって1ドル10ルーブルになってしまいました。

 

と言うことは国債を償還する際には10億ドル返済するために、100億ルーブル必要になってしまいました。

 

国家には通貨発行権があるからといって、どんどこお札を擦ろうとしても、インフレになると

そのぶんまたルーブルの価値が減ってしまいますから、結局国民がインフレで苦しんでもなかなか返済の原資が生まれなくて

結局デフォルト(債務不履行)をしてしまったわけです。




では、日本国債はどうかというと①日本円建てで日本の国内から借りている債務が90%以上を占めております。

 

それは、銀行をはじめとする日本の金融機関が購入しております。

 

ということは日本政府の借金1000兆円と呼ばれるうちの900兆円以上は金融機関の資産です。



そして金融機関の900兆円の資産の原資である負債勘定には、我々の預金が計上されておるわけですから、まわりまわって国民の資産ということになりますね。

 

つまり政府の借金は、国民の金融資産なのです(ここのパラダイムシフトがかなり大事なポイント!)





であるのに、いまだにマスコミでは、国民一人当たりの借金と言う言い方をして私たちを騙そうとしています。



③外国通貨建てで外国から借り入れている借金ならば、国民一人当たりの借金と申しましても間違いではないかもしれませんが、①国内で消化されている円建て日本国債の場合には国民一人当たりの資産でありまして、子孫に借金をのこすと言う性格のものとは違います。

 

でも、財務省やマスコミは日本の借金がたくさんあってこのままだと財政破綻するっていうじゃないですか、とお思いでしょうか。

しかし財務省も同じこと言ってますよ。

 

外国格付け会社宛意見書要旨

 

こちらのリンク先は財務省のホームページです。

これは日本国債の格付けが落とされたときに格付け会社に文句言ったときのものなんですが一番上に書いてありますよね。

(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。って(笑)

そりゃそうですよ。自国通貨建て国債のデフォルトなんて有り得ないんですよ。歴史上一度もないですし。

だって自国通貨は印刷すればいいだけなんですから。

 

 

ちなみに③の外貨建て外国向け国債というのは、通常は、自国内に金融資産があんまりなくて自国通貨建ての国債が消化できない場合に発行されます。

日本の歴史では、日露戦争の時に日本が海外からかき集めたということがありました。

 

このかき集めてくれたひとが高橋是清です。

日本政府といいますか、まあ日本人の律儀なところは、このときの外債は1989年までかかってきちんと返済しております。

この日本人の律儀さと言うのは大変な美徳ではあります。



しかしながら借りたものは返さなくてはならないという美徳につけこんでデマを流しているヤカラもおります。



我々は国債発行残高を気にするよりも、景気を回復させて、税収を上げ、企業の投資や個人消費を伸ばし、GDPをあげて、国債発行残高ではなくGDP比国債比率をへらすと言う当たり前のマクロ経済政策をとれば、日本国はまったく問題ないよ、という単純な真理を理解して、デマゴギーに踊らされないようにしなくてはいけませんね。



経済評論家、テレビのコメンテータ、大学教授、財務省のプレス、マスコミ人、ほんっとにみんな嘘ばっかりついてまったく責任を取らない卑怯なヤカラだらけです。

 

といいますか、誠実で優秀な方は大学教授の中にもいらっしゃいますがそういう方はマスコミの意に沿わない人間ということで、そもそも登場させてもらえないか、都合の悪い部分をまるまるカットされるそうです。




洗脳の手法ってあるんです。

 

どんな馬鹿げたことでも毎日毎日何百回、何千回と唱えると、特に興味関心のない問題はそのまま刷り込まれてしまうんですね。

 

テレビメディアなどというものは洗脳にはもってこいの媒体です。

 

みなさま、ゆめゆめお気をつけなされ。

 

一億総白痴化とテレビメディアを批判したのは江藤淳でしたか。



テレビなんか見てバカになるのは、それこそバカバカしいことですよ(゚∀゚)

まずは、マスコミの洗脳から解けませんか?(゚∀゚)

 

 

 

 

 

 

 

今日の記事はいつもと毛色が違うと思いませんか。文

ちょっと過激でしかも長文です。

実はこちらは10年前にアメーバブログに書いた記事のリライトなんですね。

文体がいまよりもとがってます。若いから突っ張っていたんですね(笑)

 

 

それはさておき、国の借金が1000兆円だ、子供にツケをまわすな、なんて嘘にたいしては、高橋洋一さん、中野剛志さんや三橋貴明さん、上念司さんや藤井聡さんなどの識者の努力のおかげさまをもちまして、10年前よりもだいぶ洗脳がとけている人が多いのは心強いですが、とはいえまだまだ知らない人も多いですので、10年前の記事を再掲してみました。

 

 

経済とは経世済民、世をおさめ(経め)、民を救う(済う)というのが言葉の原義ですから、コロナ禍による経済悪化で苦しむ国民をさらに苦しむような増税や緊縮財政論者にはNOを突きつけないといけませんし、そのためにも国民一人一人も騙されないように気を付けないといけません。

 

日本の借金について:MMTのつづき” に対して3件のコメントがあります。

  1. 高橋是清 より:

    そうですね。国債の発行をやめて日銀券増刷で予算の全てを賄い、国債の返済も日銀券増刷で賄う。勿論、税金は全廃です。史上初パラダイスの国誕生!

    1. gyousei-tanaka より:

      高橋是清さん、はじめまして!

      なんと記念すべきはじめてのコメントです!
      こんな私のサイトをご覧いただいている方がいらっしゃるんだと感涙です(笑)

      そうですね。税金もできれば全廃したいもんです。ブルネイとか産油国では確か税金がない国ありましたよね。

      ただですね。
      貨幣は信用の裏付けがあるから流通するんですですけど、日銀券の信用ってなにかというと実は日銀券で税金を払えるということだけなんです。

      日本政府が賦課する税金は日銀券で受領しますよ、ドル紙幣とかユーロとかだめよ。と定めることによってみんなが日銀券を必要とするようになって価値が担保されるので、実は無税にしてしまうと日銀券の価値がなくなってしまうという逆説的な話になるんですね。

      そうすると無価値の日銀券を刷ってもしょうがない。みんな欲しがらないですからね。

      なので、税金も景気が過熱してるときに増税してバブルを回避して、不景気のときには減税して景気を回復させるというように使うといいのかなと。
      ですので今回のようなコロナ大恐慌が予測される場合には高橋是清さんがおっしゃるとおり時限的に無税にするのはいいですね。

      まずは消費税から全廃するべきでしょうね(゜∀゜)b

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