行政書士田中建太郎が生まれてから⑧
ということで、南麻布のI税理士の事務所を出ましてそこから5分ほど白金高輪方面に歩いた場所に安いつぶれそうな物件を見つけましてそちらに移りましたのが2007年の冬頃でしたでしょうか。
ついに自分一人の事務所を構えたぞと意気揚々しておりましたが、当然毎月の経費も増えるわけです。
家賃だけでなく水光熱費も電話代、ネット回線、コピー機リース代等々。
固定費が高くなりやはり経営は楽じゃないなあ。
固定的報酬は顧問料をいただいている会社もありましたが、それだけで固定費全部まかなえるほどではありません。
単発の仕事をかき集めるしかありませんが、士業の単発の商売で効率よくやろうとすると
「ある程度安い価格で広告費を投入して顧客を集め、客単価ではなく客数を増やして売上増大」という、こないだまで流行っていた過払い金返還請求みたいなビジネスモデルになるんですが、厄介なのは私が取り扱う許可というのは許可要件が必ずありまして、その要件がなかなかハードルが高いものが多いんですね。
そうすると、広告費投入して、問い合わせがあった見込み客の相談にのっていって詳しく話を聞いてみると許可要件を満たさない、満たすことができない。というケースがままあるわけです。
大きく分けて、人的要件と財産要件、それから事務所要件の3つがネックになることが多いですね。
それをクリアするために準備してとかやってると状況が変わって依頼がキャンセルになったりすることもあるし、そもそもキャンセルになったらお金もらえないですから、許可が取れるお客様からは格安ではなくきちんとお金を頂戴しないと事務所がまわらない、つまり格安で集客できないというジレンマがありましたね。
キャンセルになった時点でいままで動いた分のお金をいただければいいんですが、お客様サイドとしては、キャンセルになった時点で自分のとこでなにも得たものはないのでお金を支払うのはしにくいわけで、ここは痛しかゆしです。
行政書士の仕事は、お客様の困りごとを解決してあげて報酬をいただいて、感謝の言葉までいただける素敵な仕事で、楽しいんですが、その仕事を続けるためには事務所経営を継続できるだけの安定した売上がないと成り立たないんですね。
なので、私が理想とする自分の好きなお客様にお互い感謝とリスペクトをもって仕事ができる行政書士事務所の運営をするためには、逆説的ですが行政書士事務所の経営だけをやっていてはいけないのかもしれないなと考えるようになりました。
とはいえ、だから具体的にこれをしよう!というものがあったわけではありません。漠然と行政書士事務所一本独鈷で、向こう30年くらい食べていくのは難しいだろうなあと感じていたというだけです。
明日へ続く。