行政書士田中建太郎が生まれてから③
今は昔の話ですが、開業1年目というのは、本当に不安だらけでしたね。
なにしろお金が入ってくる目当てが全くないわけです。
経営の経験どころか社会人経験すら3年程度。
行政書士の仕事の実務経験は当然ありません。相談がきても素人に毛の生えたような回答しかできないので、わからないことは帰ってから調べてメールで回答しますって言うしかありません。
でもその場で適当な回答して間違っててもいけませんから結局は誠実に答える方がいいんですが、経験がないと自信がないので、なめられないようにとかえって知ったかぶりで回答したくなっちゃうんですよね。
専門家ぶりたいというか。
なのであの頃は毎日夜になると布団かぶって今月の家賃どうしようと震えておりました。
私の場合にはありがたいことに、もう金ないヤバイ!ってなると、はかったようにお仕事をご紹介いただいたり、ホームページをみてお問い合わせくださったりするお客様が現れてくださいまして、一年目はなんとか生きていくことができました。
でも一年目のときにお仕事させていただいたお客様で、今もお取引が続いているのは一社だけです。
この16年の間にリーマンショックがあり、東日本大震災があり、消費税増税もありと経営環境が激変する中で、多くのお客様が倒産したり廃業したりしていきました。
または私と考え方が合わなくて離れていくお客様もおりますね。
私は、商売というものは上下関係があってはおかしいと考えますので、お客様だから偉いとかえばっていいものとは思いません。
当然専門家の先生だからと偉ぶっているセンセイ方もおかしいと感じてしまいます。
売り手よし買い手よし世間よしの三方よしが商売の理想だと思いますので売り手は買い手に感謝して、買い手は売り手にリスペクトを持って、世間、社会に貢献できるような商売が全うだと思っております。
このバランスが崩れると長続きしないんですね。
買い手が、「こっちは客だぞ、神様だと」なーんて丁稚奉公のようにあごで使うような傲慢なところとは商売したくないですし、社会規範に反するような依頼をしてくるようなところもお断りです。
手続きに精通している分、ズルのやり方も知っていますが、ズルしてるところで長続きしてるとこもあんまりないんですよね。
真っ当にやるのが結局一番です。
とはいえ、当時はそこまでの余裕と知識経験がありませんため、貧すれば鈍するのとおり怪しげな依頼もふらふらと受けそうになったりしておりました。
そんな中、とある出会いが私の行政書士人生の序盤を変えることになったのです。
明日へ続く。