行政書士田中建太郎が生まれるまで⑳
とまあ、行政書士試験も結局受けず大学3年生は終わり本格的に就職活動に入っていきますが、なにしろ就職活動というのがピンとこないワタクシでした。
小さいころからやりたいことなんて特に何もなく、小学校、中学校、高校、大学とただなんとなく進学してきました。
あいまあいまに受験はありましたが、特に考えることもなく勉強しておけば勝手にすすんでいくのがそれまでの人生でした。
ところが就職活動というものは違いますね。
今までの学生時代というのは、お金を支払って教えてもらっていたわけで、ある種お客様というか消費者の立場でしたが、社会人というのは、お客様への奉仕者、会社に雇用され会社に貢献すべく優良な労働者とならねばならないんですよね。
つまりそれまでの自由放埓な生活が一変することは容易に想像がつきます。
そういう立場が嫌だなあとなんとなく考えて行政書士の資格を取ろうかと考えていたわけで、積極的に就職活動をしたいという気持ちがまずわきません。
業界研究も会社研究も自己分析もめんどくさい。
会社説明会もOB訪問も面接もすべてがめんどくさい。
それでもやらなければならないからいやいややるという就職活動でしたから、当然のごとくありとあらゆる会社に落とされ続けます。
今となっては、当時の私を雇いたい企業なんかあるまいと冷静に振り返られるんですが、当時の私は世間知らずのくせに根拠のない自信だけあるプライドの高い高慢ちきな学生です。
いまアドバイスできるなら素直で謙虚というのが若者にとっては一番の武器だぞと伝えられますが、たとえタイムマシンでいまアドバイスにいっても当時の私は聞き入れないでしょう。
当時の私はなにも持っていなかったので、根拠のない自信というのはコンプレックスの裏返しです。
それを見透かされたくないのでなんとか自分を大きく見せようとしていたんですね。
友人が、みんな内定が決まっていく中、ワタシは夏ごろまで就職先も決まらず悶々としておりました。
そんななか、どうにかこうにか拾ってもらって企業が、人材サービスの企業でした。
ちょうど派遣業界などが盛り上がってきていた年だったらしく、同期の新卒が400人もおりまして、その中になんとか潜り込ませていただいたというわけでした。
明日へ続く。